持続可能な農業への転換について

昨年、2021年5月、農水省は「みどりの食料システム戦略」を策定しました。この戦略は、SDGsや環境を重視する動きが加速していく中で、農林水産業全体の生産力を、持続可能性と矛盾することなく高めていくことを目標としております。
具体的には、2050年までに化学農薬の使用量を50%低減、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を現在の0.5%、2万ヘクタールから25%、100万ヘクタールに拡大するという数値目標を設定しています。かなり長期的で大胆な数値だと思いますが、国が計画を策定し転換期を迎えていると感じています。

質問
(1)みどりの食料システム戦略への取り組み状況は。
(2)農薬や化学肥料を減らす取り組みはあるのか。

回答

(1)国は持続可能な食料システムを構築するために、2021年5月に食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定しております。
この戦略を推進するために、2022年4月に「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」 いわゆる 「みどりの食料システム法」が成立し、この法律に基づき2022年9月に国の基本方針が公表されました。
この国の基本方針に基づき、地域の実情を踏まえて都道府県が主導で基本計画を策定することになっており、都の動向を注視してまいります。

(2)町田市では、2022年3月に改訂した「第4次町田市農業振興計画」に「堆肥流通促進事業」を継続事業として位置付けております。
この事業では、安心安全で環境に優しい農産物の生産に向けて農業者に堆肥の活用を促し、化学肥料の低減を図っております。
また、東京都では、農薬や化学肥料を減らして生産された農産物を認証する「東京都エコ農産物認証制度」や肥料の使用量低減を目的とする「土壌診断」を推進しており、町田市でもこれらの取り組みを推奨し、農業における環境負荷の低減を促進しております。

再質問
続きまして、項目2「持続可能な農業への転換について」ですが、
ご答弁いただきました、東京都の制度である「東京都エコ農産物認証制度」は、町田市でも推奨しているとのことで、環境に負荷をかけない農業を推進する意味では、農薬や化学肥料を減らす取り組みは大変重要であり、この東京都エコ農産物の消費が市内でより一層増えることで良い循環が生まれると思います。
また、この東京都エコ農産物を食べることは、健康づくりの観点でも成長期の子どもたちにとって大変有意義なものだと思います。
この東京都エコ農産物は小学校給食で食材として活用されているのでしょうか。活用状況をお聞かせください。

回答

小学校給食に食材を納入するには、学校給食食材納入契約を生産者の方と結ぶ必要があります。「東京都エコ農産物認証制度」で認証された生産者のうち、8名が納入契約を締結しており、その方々は現状で学校給食に農産物を納入しております。

再質問
東京都のホームページを見ますと、町田市内で「東京都エコ農産物認証制度」で認証された生産者は全体で49名いらっしゃいますが、今後、小学校給食に納入する方を増やしていく考えはありますか。

回答

学校給食における市内農産物の活用促進は重要だと認識しております。「東京都エコ農産物認証制度」で認証された生産者のうち、契約されていない方について、町田市農業協働組合などから紹介いただくなどして、納入いただける方を増やしていきたいと考えております。

再質問
それでは続きまして、農薬や化学肥料を減らす取り組みである「町田市の堆肥流通促進事業」についてお伺いします。
化学肥料の原料は原油、天然ガスなど化石燃料が使用され、脱炭素の流れに逆行します。また、原料のほぼ100%が海外輸入に依存しており、現在、肥料高騰による生産コストの上昇が追い打ちをかけています。
堆肥の活用は、化学肥料の低減につながるものであるとのことですが、直近での、堆肥利用状況をお答えください。

回答

堆肥流通促進事業は、農業者が市内の畜産農家から堆肥を購入する経費を補助するものです。この事業における近年の利用実績につきましては、
2019年度は利用件数が105件で利用量が132トン、2020年度は89件で153トン、2021年度は94件で167トンであり増加傾向にあります。
 環境負荷低減に対する意識の高まりなどから、多くの農業者の方に堆肥を利用していただいており、化学肥料の使用量低減が図られております。

私の提案

町田市が既に化学肥料の削減に向けて取り組み、循環型農業が徐々に浸透してきていることを理解いたしました。
また、農薬や化学肥料を削減して農作物をつくっている「東京都エコ農産物認証制度」に認証されている町田市の生産者さんが49名というのも思いのほか多いと感じました。9月に都市農政で研修農場へ訪れた際に、最近では有機農業をやりたいと研修に申し込む方が非常に多いと伺い、持続可能な社会を目指す取り組みへの関心の高さを改めて感じたところです。
みどりの食料システム戦略は生産者の支援だけでなく、調達、流通、加工なども含めた計画で、相応の価格で購入する出口戦略として学校給食が示されています。出口さえはっきりしていれば作れるので、「東京都エコ農産物認証制度」認証の生産者の方や、新規就農で希望する方への支援として、みどりの食料システム戦略に関する補助金等が活用できるように、東京都の動向を見守るだけではく、積極的に働きかけていただくよう要望いたします。
一方で、消費者の理想を追い求め過ぎると生産者に負担をかけてしまうこともあります。消費者、生産者、地域、皆が良かったと思えるような今後の取り組みに期待し、この項目を終わります。