芹ヶ谷公園“芸術の杜”パークミュージアム
整備計画説明会
5月26日、29日に芹ヶ谷公園“芸術の杜”パークミュージアム整備計画説明会として、(仮称)国際工芸美術館及び(仮称)公園案内棟・喫茶工房アート体験棟について説明がありました。
説明会では予定時間を大幅に延長し、質疑が行われました。説明会での質疑の論点は様々ですが、(仮称)国際工芸美術館を斜面に建設することに付随する疑問や、そもそも必要なのかといった計画自体への疑問など、この段階での質問ではないものが目立ちました。
また、斜面ではなく版画美術館横の平地へ建設を求める意見や、工房の移設も含めた版画美術館の改修への反対意見など、皮肉なことに、議会で否決する前の計画を求める声も多く聞かれ、これまで近隣住民や市民へ丁寧に説明してきたのかという疑義と、非常に不安定な状況の中で着工することで、強制執行ととらえる地域住民もいるのではといった懸念を持っています。また、昨日の一般質問においても説明会の録画公開中止が明らかになり、透明性のある開かれたプロセスであることを市民に胸を張って言えない状況であります。
説明会の質疑では市から「ご意見としては取り入れますが、スケジュール通り進めます」との発言がありました。スケジュールを大変重視しておられますが、先に行われました文教社会常任委員会においては、委員からの質疑に対し、「予算削減に関する現段階での取り組み状況が答えられない」、「総事業費がいくらなのか答えられない」、「ランニングコストが出ていない」、「具体的なマーケティングが行われていない」等、令和4年度第一回定例議会での附帯決議に沿った対応も不十分だということも明るみになりました。このような状況では、スケジュールを重視するあまり進め方に丁寧さが欠けているのではないかと懸念いたします。
- 質問
- 説明会を経て、改めて、説明会に参加した一部の地域住民との溝の深さが浮き彫りとなりましたが、説明会のタイミングは適切であったのでしょうか。
回答
2021年から芹が谷公園芸術の森プロジェクトパークミュージアムデザインブック報告会、近隣の町内会・自治会の方々へのご説明、(仮称)国際工芸美術館の概要についての町田市主催の現地説明会、芹が谷公園文化ゾーンネットワークとの懇談会などを実施してきました。また、2022年5月に芹が谷公園芸術の森パークミュージアム整備計画説明会を開催し、市民への説明と市民から要望を受ける機会を作りました。
このように地域住民をはじめ市民の方々に丁寧に説明を行ってきました。
- 質問
- 説明会に参加した一部の地域住民の反対の声が上がる中でスケジュール通り進めることについてどのように考えているのでしょうか。
回答
町田市立博物館のガラスや陶磁器を引き継ぐ施設として、(仮称)国際工芸美術館を整備するものでございます。
町田市立博物館は2019年6月に閉館しており、博物館での展示事業を終了しております。地域の方々からは、(仮称)国際工芸美術館の完成を心待ちにしているとの声もいただいているところでありまして、早く完成させたいと思っております。
- 質問
- 説明会の動画を公開しないということが明らかになりました。
しかし、公開しないことによって、様々な憶測や疑念が広がったり、また心配している地域住民の方と市の信頼関係を築くどころかますます悪化してしまうと思うのですが、どのように考えますでしょうか。
回答
当日は最初に録画を公開するかもしれませんと言ったと思います。しかし、参加者から自分の発言については公開しないでほしい、削除して欲しいという申し出がありました。それらを勘案し公開しないことにしました。
- 質問
- 国際工芸美術館の建設に関して意見を寄せる地域住民の方々の論点は様々です。自然を大切にする人、版画美術館を大切に思う人、それぞれの価値観や信念や正義があります。それを議論として戦わせるだけでは歩み寄ることは難しいと考えております。
建設のことだけではなく、中心市街地活性化も含めて街づくりというところまで視野を広げて、計画から運用について市民と行政がフラットに話し合う場を新しい枠組みとして立ち上げてはどうかと思うのですが、市のお考えはいかがでしょうか
回答
現在、芹が谷公園芸術の森パークミュージアムに関する基本協定書を町田市と芹が谷公園文化ゾ―ンネットワークとで締結し、公園の計画や運営、運用に関する協議を行うことを目的として、芹が谷公園パークミュージアム会議を行っております。
今後新しくなる芹が谷公園のさらなる魅力向上を図るため、芹が谷公園パークニュージアム会議を継続するとともに、中心市街地で活動している様々な主体と連携し、芹が谷公園を一緒に盛り上げていく人を増やしていく必要があると考えております
私の提案
今回の私の一般質問1項目目、市の事業の企画立案時点での新しい市民参加の在り方についてのご答弁では、市⺠参加型事業評価をライブ配信したとご答弁をいただきました。また、「町⽥市・市⺠センター等の未来を考えよう!」という事業においてはZOOMを使用したワークショップを行っていたり、今やオンラインでの参加は常識になりつつあります。今回の説明会はオンライン参加はなく残念だという声が多数寄せられました。不特定多数の参加者がいるライブ配信では参加者のプライバシーを守れなくなる可能性もあります。ただ、録画であれば守ることができます。録画公開中止は、開かれた透明性のあるプロセスを否定することになります。ネガティブな情報は隠してしまう。それは開かれている透明性があると言えないのではないでしょうか。
また、現在行われている(仮称)公園案内棟/喫茶/工房・アート体験棟についての意見募集についても、公園案内棟の基本計画概要(案)には施設のビジョンや活動のイメージしか載ってないのですが、ほとんどが土砂災害特別警戒区域に指定されている場所といったリスクだったり建物の規模やフロアー構成イメージは何も載っておりません。擁壁をつくることは弱い地盤を補強するという観点では良いことでもあります。都合のよい情報だけを公開するのではなく、市民に対しての説明責任を果たし、透明性のあるプロセスを大切に市民に誠実に進めていただきたいと思います。
説明会で懸念事項を述べていた地域住民の方は、長年に渡り、芹ヶ谷公園を大切にしながら活動し、芹ヶ谷公園のために時間や労力をかけることをいとわない方々です。その方々は無責任に意見を述べている訳ではなく、芹ヶ谷公園へ思い入れや愛着があるから今回必死に訴えておられます。
懸念事項を持っている方の声は地域住民全員の声、総意ではありませんが、一方で、長年、芹ヶ谷公園のために力を尽くしてこられた地域住民の方が悲しい思いをされている、それは一人ではなく複数名いらっしゃるということもひとつの事実です。
反対派としてひとくくりすることは簡単ですが、これからも芹ヶ谷公園の近隣で暮らし続ける方々と、もう一度、信頼関係を取り戻す方法を考えるべきではないでしょうか。
長く愛される公園にしていくためには、近隣にお住まいのその方々とも歩み寄り、悲しい思いをする人がこれ以上生まれないように、皆で一緒に考え、答えを見つけていければと願うばかりです。
今後進めていくにあたり、心配をされている近隣住民の方々ともう一度信頼関係を築いていくために、それぞれが一方的に「ご理解いただく」というスタンスではなく、様々な価値観を共有して、お互い何ができるか、できないか、対話の中から答えを見つけていくような機会をつくっていただけること要望します。
本項目の最初のご答弁では、一般論としての進め方を説明いただいております。それによると、進め方についてはルールがあるのではなく、事業の内容・規模や地域の実情等を踏まえ、事業ごとに進め方を決めていくと理解いたしました。今回、ここまで地域住民と溝が深くなってしまったのはなぜでしょうか。議会で否決する前の設計案の際は、地域住民の意見も取り入れながらひとつずつ地域住民と合意形成を積み重ね、要望書や署名活動はなかったと聞いております。コロナのせいということもあると思いますが、地域住民の希望する進め方とは異なる進め方だったのか、芹ヶ谷公園はモノレールのルートにもなっておりますので、将来に向けても、悲しい思いをする地域住民が生まれないように、再発防止等を検討していただくことを要望します。