いじめ防止等に関する取組について(1)

2020年11月、市内の小学生のお子さんが自ら命を断つというとても悲しい出来事がありました。
3年4ヶ月がたち、今年の2月21日に町田市いじめ問題調査委員会が報告書を出しました。
調査委員会は、報告書に、同種の事態の再発防止のために町田市及び市教委が取るべき措置の検討として再発防止の提言を出しております。
町田市及び町田市教育委員会は、調査委員会が出した提言をおろそかにするわけにはいかないと捉えてくださっていると信じています。
そこで報告書の提言について質問いたします。
- 質問 1
- いじめ防止等の取組みについて
回答
2020年11月に発生した重大事態に関しまして2024年2月に示された町田市いじめ問題調査委員会からの提言を受け、町田市教育委員会では重大事態発生以後のいじめ問題に関する取組についてまとめ、2024年4月の教育委員会定例会で報告いたしました。
主ないじめ問題に関する取組として、
第1に、学校の組織力向上に向けた取組が挙げられます。
2022年4月に町田市いじめ防止基本方針を改定し、学校いじめ対応チームの月1回定例会を実施するなど組織的な対応を行ってまいりました。
第2に、児童生徒が安全・安心な学級・学校生活を送るための取組でございます。
一人一人の児童、生徒の学校生活への意欲や満足感並びに学級集団の状態を測定する心理検査hyper-QUを2022年度から小学校5年生及び中学校2年生に対して実施するとともに、いじめ防止等に関する授業を全学年年3回以上実施するなど、児童生徒にとって安全・安心な学級作りを行ってまいりました。
第3に、ICT環境の整備に関する取組でございます。
児童生徒があらかじめ設定されたキーワードを使用してウェブ検索や書き込みをした場合に検知するキーワード検知機能の導入やタブレット端末のログの取得などのタブレット端末の管理機能の強化やパスワードの適正な管理などの対策を行ってまいりました。
- 再質問1
- いじめ問題調査委員会の報告書にある提言に、誰もが安心して通える学級・学校づくりについて示されておりました。
安心・安全な学級形成のため、限られた時間の中で授業を進めるにあたり担任の先生が一人で対応することが難しい場合があります。
1年生には担任の先生以外に生活指導補助者が短期間配置されております。他の学年においても必要に応じて生活指導補助者を配置いただけないでしょうか。
回答
担任一人で対応することが難しい場合、学校では様々な人材を活用して対応しております。
一例といたしましては、授業が空いている教員や学校支援ボランティア等が担任の補助に入ったり、副担任を含めた学年の教員で子どもたちを見守ったりするなど学校全体で情報を共有し、組織的な対応を行っております。
生活指導補助者につきましては第1学年以外に配置することはできませんが、学校支援ボランティア以外にも大学生のインターンシップの活用や地域の協力者を募るなど、他の学年に活用できる人員の確保に努めております。
- 再質問2
- 小学校では人手不足で、例えば副校長先生が授業を行ったり、校長室で過ごしている子も数名いたり。とにかく見守る人手が不足していると聞いております。
ボランティアがスムーズに集まる学校はいいのですが、共働き家庭の増加だったり、停年退職後も働いている方が多くて、ボランティアがなかなか集まらない学校の方が多いように感じております。
学校支援ボランティアや大学生のインターンシップは何校、何人配置されているのか、市としては充足していると考えているのかお聞かせください。
回答
学校支援ボランティアの配置につきましては、2023年度においては1万1701名の登録がありまして、延べ8万2662回の活動に携わっていただいております。
大学生のインターンシップにつきましては、大学と学校が直接行っているため把握はしておりません。
今後も、一人でも多くの方に関わっていただけるよう、人員確保に努めてまいります。
- 再質問3
- 学校支援ボランティアは多くの方が携わってくださっているということですが、私が聞く限りでは、例えば授業の引率だったり、そういったところで何か課題がある学級を見守るというのはあまり聞いたことがないわけです。また、こちらは今後詳しく伺っていきたいと思います。
次に大学生のインターンシップについてなんですけれども、学内に教育学部を有する大学がある小学校からは、謝礼の予算がないためにアルバイトをしなくても済む経済力があるご家庭の学生さんしか手伝いに来ることができない。せめて学生さんに給食だけでも提供できないかと声が上がっております。
そもそも学級崩壊にも近いような学級で起こっているさまざまな深刻な課題に対しても、ボランティアを当てにしているというのはいかがなものでしょうか。ここはやはり人的支援に予算が必要な状況ではないでしょうか。
回答
大学生のインターンシップにつきましては、大学の授業の一環として来ているというふうに認識しております。
また、大学生には深刻な問題について関わらせることはございません。
今後も、学校支援ボランティアなど一人でも多くの方に関わっていただけるよう人員及び予算の確保には努めてまいります。
- 再質問4
- 学級運営の難しさの原因に、それぞれの子どもへの指導の難しさがあります。
八王子市では、地域の方や大学生が包括的な支援を学び、特別な支援を必要とする児童生徒をサポートする学校サポーター制度を実施しております。
誰もが安心して通える学級づくりを進めていく上で、町田市でも導入してはいかがでしょうか。
回答
八王子市で行われている学校サポーター制度については、特別な支援を必要とする児童生徒をサポートするという意味では本市で行っている学校支援ボランティアの制度と同じようなものであると考えております。
- 意見
- 先ほどのご答弁で町田市と八王子市のボランティアは同じというふうに伺ったんですけれどもその違いとしてはあらかじめ支援の方法を学んでいるかどうかということだと思います。
専門知識を学んだサポーターが入ることで学級運営に大きく貢献していると聞きました。サポーターは一人一人の児童にあった学びのサポートを実施できるため、行きしぶりや不登校支援の予防的取り組み、多様な学びの保障にもつながるということです。
まずは2020年の重大事態の学校だけでも試験的に導入できないかぜひご検討をお願いいたします。
- 再質問5
- いじめ問題調査委員会の報告書には、いじめへの対応のための教員の増員及び専門部の設置と示されています。
いじめ防止対策推進法でいういじめは非常に件数が多く、早期対応のために保護者へ電話連絡をしたり丁寧な対応が必要なこと、また、いじめが継続しているか終わっているかを管理するには膨大な時間がかかります。
先生方は通常の授業を行って明日の準備をするだけでも、勤務時間はあっという間に過ぎてしまっているというわけで、負担が大きいというのが実情です。
この提言について市は、どのように考えるのか、引き続き従来通りとするのか考えをお聞かせください。
回答
現状のところ、学校内での専門部の設置につきましては難しいと考えています。
そのため、いじめへの対応につきましては担任1人に任せることなく、学校いじめ対応チームを中心として組織的に対応してまいります。
また、警察への相談や通報すべき事案に該当した場合には学校運営協議会を臨時で開催し、学校の方針や対応について報告してご意見を伺うなど、ご理解をいただきながら進めてまいります。
- 再質問6
- いじめ問題調査委員会の報告書には、いじめの対応に関する保護者との連携についても提言されております。
いじめの早期発見・早期対応のためには、どのように保護者と連携を図っていくのか伺います。
回答
いじめ対応に関するフロー図を、2023年3月に改定いたしまして、保護者との対応の流れを具体的に示しております。また、いじめ早期発見・早期対応リーフレットを作成し保護者に周知するなど、保護者との連携の充実に向けた取組を進めております。
また、教育委員会が実施しております若手教員育成研修、中堅教諭等資質向上研修、また生活指導主任会などにおきましていじめに関する研修を実施し、いじめを発見した際の学校の対応や保護者と連携した対応についてなど、学校と保護者との連携の重要性を教職員に対して意識づけております。
各学校では、日頃から保護者が様々な悩みや心配なことを相談しやすい環境を整えていることについて、学校だより等で、各家庭に周知しておりますが、今後も機会を捉えて発信するよう全校に伝えてまいります。
- 再質問7
- 早期発見・早期対応のリーフレットは、どのように周知されたのでしょうか。いつ配布されたのか1回配布して終わりでよいのか、例えばテトルで1年に1回配布してはいかがでしょうか。
周知はもちろん大事なんですけれども、一方的で無機質な感じがしていて、ホームページに掲載しましたっていうのがすごく違和感を感じています。
一般論で、例えばホームページに周知しましたとか、そういったところがすごくもどかしいなと思っているんですけれども、周知ももちろん大事なんですけれども、学校と保護者が相談し合える信頼関係を築いていくことが大事だと考えております。
市内の小学校では子育てに関する講演会を定期的に行って先生方と保護者が共に学んだ上でグループワークを行ったり、また定期的に教員と保護者の座談会を行ったりと、そういった学校と保護者の距離をぎゅっと近づける取り組みが必要だと私は考えております。
先月、文教社会常任委員会で視察に伺った新潟県糸井川市では、教育懇談会として学校と家庭、地域住民を対象に懇談会及びグループ協議を行っているということでした。
講演会を聞くだけでなく、保護者、教員、地域の方々が意見交換をすることで、顔が見える関係や、子どもたちを地域で育む体制が生まれてくる、大切なきっかけになると感じました。町田市でもこのような取り組みを実施してはいかがでしょうか。
回答
いじめ早期発見早期対応リーフレットは2022年4月に保護者に配布しております。
さらに町田子育てサイトに本リーフレットを掲載し、保護者へ周知を図ってまいりました。
今後、これまでのリーフレットを見直し、より分かりやすい内容に改訂し、改めて保護者へ通知してまいりたいと考えております。
また、意見交換につきましては各学校で毎年道徳授業地区公開講座を実施しており、その中で保護者や地域住民を交えた意見交換会を行っております。そういった場を大切にしながら、より充実した意見交換ができるよう取り組んでまいります。
- 再質問8
- いじめ問題調査委員会の報告書には、いじめの重大事態への対応についても提言がされております。
そこには、ガイドラインに沿った対応を心掛ける、と書かれています。今後ガイドラインに沿わない対応を防ぐために、町田市教育委員会としてはどうすればよいと考えてますでしょうか。
回答
いじめの重大事態が発生した場合、文部科学省から示されているいじめの重大事態の調査に関するガイドラインに沿って対応することを基本としながら、個々の案件について考慮し対応をしております。
そのため、引き続き学校と連携を図りながら、ガイドラインに沿った対応となるようにしてまいります。
- 再質問9
- いじめ問題調査委員会の報告書によると、これまで教育委員会や学校がガイドラインに沿っていると判断してきたことが、そうではなかったということが書かれています。
ガイドラインに沿っているかどうかは誰が判断するのか、2020年の重大事態の前と後でその対応は変わったのかお聞かせください。
回答
これまでもガイドラインに沿って対応することを基本としながら、個々の案件について考慮し対応をしているところです。引き続き学校と連携を図りながら、ガイドラインに沿った対応となるようにしてまいります。
- 意見
- 今回の報告の指摘を踏まえて今後は対応いただきたいということと、例えば保護者からガイドラインに沿っていないんじゃないかという意見があれば、一度立ち止まっていただくなどを徹底していただきたいと思います。
- 再質問10
- 国から子どもの自殺が起きた時の背景調査の指針が示されております。背景調査の目的や進め方について保護者に伝えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
回答
子どもの自殺が起きた時の背景調査の指針では、実際の背景調査に当たっては個別の状況に応じた柔軟な対応が必要であることに留意し、場面に応じて最善と思われる対策を臨機応変に検討していくことと示されております。
そのため、個々の案件に応じて保護者と連携を図りながら適切に対応してまいります。