子どもの虐待、ヤングケアラー
先月、町田市民の藍葉真澄さん主催の子どもの未来を変える会が開催した子ども虐待防止講演会に参加いたしました。同じく町田市民の川上輝代さんが当事者として必死の思いでお話ししてくださいました。
タイトルは「SOSが言えない理由」です。
子どもは虐待ということは分かりません。
当事者の方の多くがそれが当たり前だと思い与えられた環境の中で生きてきたと言います。
そして虐待サバイバーとして後遺症を抱え苦しみ続けます。
ヤングケアラーも同様で、当事者が当たり前と思っているため支援が届きにくいという課題があります。
これまで、周囲が発見して支援につなぐことや、相談窓口の設置が整備されてきました。ところが、家庭のこととなると周囲からの介入が難しいことはよくあります。
また、せっかく相談窓口を設置しても、子ども自身が虐待やヤングケアラーの環境が当たり前と思っていれば、子どもが相談することはありません。
1.ヤングケアラーについて小中学校で子ども自身が知る機会はあるのか
回答
町田市の小中学校では国から配布されております児童虐待防止やヤングケアラー普及啓発のためのポスターを校内に掲示し、児童、生徒へ周知を図っております。
また、国が作成したヤングケアラーに関するリーフレットを全児童生徒へ配布し、周知をしております。さらに、学期始めや長期休業前には虐待やヤングケアラー等について相談できる学校外の相談窓口についても児童生徒に指示をしております。
再質問
小学校では、校内でポスターを貼っているリーフレットをヤングケアラーのリフレットを配布した相談窓口を周知しているということでした。ただ、その家庭環境が当たり前と思っている子どもたちにはもう一歩踏み込む必要があります。虐待やヤングケアラーに関して学校で指導する機会はあるのでしょうか。
回答
まず、学校ではあらゆる機会を捉えまして、児童生徒に対してどのようなことがあっても暴力や暴言無視など相手を傷つけることは絶対にしてはならないこと。
悩みやつらいことがあったら身近な大人に相談することなどを指導しております。
また、特別活動や特別の教科、道徳の時間などにおいて人権尊重の意識を醸成する目的の一環として虐待やヤングケアラーについて触れる場合もございます。
再質問
触れる場合もあるというふうにご答弁いただいたんですけれども、それは教科書に載っているのかだったり、あとは担任の先生次第ということになるんでしょうか。
回答
教科書に載っているというわけではありませんけれども、人権尊重の意識を醸成するといった目的で伝えるというようなことが想定されております。
再質問
今おっしゃっていただいたことは、担任の先生の判断で実施するかしないか決まっていくのでしょうか。
先ほど実施することもあるということだったんですけれども、やっぱりその虐待とかヤングケアラーについて直接的には言えないということなんでしょうか
回答
学校ではですね、虐待やヤングケアラーの当事者または当事者であると思われる児童生徒に対して配慮しながら指導することが求められております。
そのため、虐待やヤングケアラーに関しましては、児童生徒の人権に配慮しながら指導をしております。
再質問
人権に配慮しながらということなんですけれども、知ることも子どもの大事な権利だと私は思っています。
逆に、知らせないことは子どもの権利を奪っているというふうに感じているんですけれども、なかなか先生で指導が難しいということであれば、例えば当事者などの専門家を呼んで話を聞く機会を設けてはいかがでしょうか。
回答
学校ではこれまでも様々な専門家を呼んで出前授業を行っておりますので、それと同様に虐待、またヤングケアラーにつきましても各学校の実態や状況に応じて専門家から直接話を聞く機会を設けるということは可能であると考えております。
再質問
可能であるということなんですけれども、それは誰の判断になるんでしょうか。
回答:
校長の判断になります。
再質問
文科省が定めている生徒指導提要には、学校に求める役割として虐待防止のための子ども及び保護者への啓発は努力義務と明確に書かれています。
児童虐待防止法でも、学校等は児童及び保護者に対して児童虐待の防止のための教育または啓発に努めなければならないと規定されております。様々行っていただいておりますが、子どもたちに伝わっていなければ伝えていないと同じことだと私は思います。
授業で触れるかどうかも学校によって様々。
専門家の話を聞く機会も学校によって様々というのは、国が定めている虐待防止の教育や啓発について町田市では対応できていると捉えているのでしょうか。
回答:
子どもが悩みを抱えた時に助けを求めることなどの指導については校長講話であったり、また学校外の相談窓口の配布時などに、学級指導として児童生徒へ毎年度繰り返し指導をしております。
また、東京都教育委員会が作成いたしましたDVD教材であったり、SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料を活用いたしまして、様々な困難やストレスの対処方法を身につけるSOSの出し方に関する教育を総合的な学習の時間であったり、特別活動の学級活動に位置づけて実施しておりまして、児童虐待防止等に向けた取り組みを行っているというふうに認識をしております。
再質問
SOSを出す授業だったり、あとは毎月行われている心のアンケートにも自分の心に向き合う機会はあるわけです。楽しいか楽しくないかとか悩んでいることがあるかというところには、友達のことという他に家族のことという欄もあります。
でもどこか形骸化してしまっている感じがしていて、虐待の当事者の方のお話によると、知りたかったというふうに言うんです。
子どもの時に知りたかった、逃げ場が欲しかったというふうに、ほとんどの方がお話をされました。
自分が置かれた環境を虐待ということを知らずに育ってきてすごく後悔されるというふうに伺いました。
よく虐待の連鎖という言葉があるんですけれども、当事者の方にその分かれ道、連鎖するかしないかの分かれ道を聞いたときにやっぱりこれが虐待だって気づいて、自分の親が反面教師になれば連鎖しないというふうに教えていただきました。これが当たり前の環境だと思ってそのまま育てば、また自分も同じように虐待が連鎖してしまうということです。
やっぱりもう一歩踏み込んだことが必要なのかなって思っているんですけれども、今、虐待ではないんですけれども、東京都の子ども未来アクションという計画によると、ヤングケアラーについて広く社会に周知していくためにどのような取り組みが一番良いと思いますかという質問に対して、子どもたちの意見として第一位は学校での授業と記述されております。
やはり、学校でも虐待とかヤングケアラーについてちゃんと教える機会が必要だと思いますが、いかがでしょうか
回答
例えば、中学校の技術家庭科の家庭科分野の家族・家庭生活の教科書の中にですね
児童虐待に関する法律であったり、また児童相談所等の取り組み等についてですね 記載されておりまして、児童生徒の実態や状況に応じて取り扱ってございます。
再質問
これまでも何もしてこなかったわけではなくて様々取り組んでいただいたけれども、やっぱり家庭の中に閉じられてしまって拾えてないというのはすごくたくさんあるというのは課題だと思っております。
今後、子どもたちの未来を変えるために、やっぱり今までと同じ取り組みではなくてもう一歩を踏み込む必要があると思いますが、教育委員会としてはどのように考えているか伺います。
回答
先ほど答弁しました通りですね。国や都のリーフレットを活用しながら、また様々な教材を活用しながらですね
特別活動、また道徳そして総合的な学習時間、学習の時間などを使いましてやってまいりたいというふうに考えております。
意見
本日は子どもの権利については触れませんが、町田市には町田市子どもにやさしいまち条例があります。
虐待やヤングケアラーは子どもの権利が侵害されている状態でもあります。
目の前の子どもの権利の保障が優先されるべきであり、何より子ども自身が安心して思いや意見、あるいは愚痴とか不満とかを出せるかを作ることが大事だと思っておりますので、今後も子どもたちが幸せな子ども時代を過ごせるように引き続きご支援をお願いいたします。