市民と行政が顔の見える関係を築き、対話を大切にした共創のまちづくりを実現するために

共創というのは共に創ると書きます。
町田未来づくりビジョン2040では、経営基本方針において、共創で新たな価値を創造することを掲げております。
多様な主体と連携、協力することにより、地域の活性化や地域の課題解決に取り組むことを目指しております。
町田のより良い未来につながるとても大事な取り組みです。
ところが、実際の事業の進め方に、町田市の大上段の計画にある共創の理念と大きく乖離していると感じることがよくあります。

資料の1ページ目をご覧ください。
先月2月13日に行われた野津田公園南口転回広場基本設計説明会で配布された資料です。
配付された資料のスケジュールによると、説明会が行われた2月13日はすでに実施設計が始まっており、4月から整備工事予定とのことで、説明会は大きく紛糾いたしました。

1)2月13日に住民に対する初めての説明会として野津田公園南口転回広場基本設計説明会が実施されたが、すでに実施設計に着手しており4月から整備工事予定となっている。
住民と分断を生まないためには、計画の早期段階で対話の機会を設ける必要があったと考えるが、市の考えは。
(回答)
野津田公園の南口転回広場整備は2014年に策定した町田市第2次野津田公園整備基本計画に基づき実施するものであり、芝溝街道からのアクセスの充実や大型車の進入に対応できるエントランス空間を確保するものでございます。
第2次基本計画の策定にあたっては、公募による市民・地元町内会の代表・学識経験者から構成される懇談会の設置や利用団体からのヒアリング及び市民意見募集を実施するなど、幅広く市民のご意見を伺い参考にしております。
他の施設と同様に南口転回広場の整備についても第2次基本計画策定後、広報まちだへの掲載やホームページで公開するなど、市民への周知を行っております。
説明会については2023年度後半に測量、2024年度に基本設計を実施し、近隣住民に対する説明資料が整ったため先月2月13日に実施したものであり、開催時期は適切であったと考えております。

2)政策の立案や事業の企画において、これまで市は市民参画を推進してきたのか。
(回答)
市では、市民参画につきまして、地域の課題解決に向けて多様な主体と対話し、共感や賛同を得ながら共に街を創っていくという考えのもと、これまで様々な取り組みを推進してきました。
例えば2008年に市の事業の在り方そのものを外部の視点を取り入れ、公開の場で考える事業仕分けを開催し、2015年からは市民参加型事業評価として継続的に開催しております。

また、市長が直接市民と対話する機会としまして、石坂市長の就任以前から、地域課題や市民ニーズを市政へ反映することを目的として市政懇談会を継続的に開催しております。
2011年からは、身近な話題について意見交換をする市長と語る会、2017年からは、高校生を中心とした若者世代を対象とした、若者が市長と語る会を開催しており、地域、年齢を問わず多くの市民と対話をしております。

これらの市民と対話をする機会につきましては、年間20回以上実施しております。

そして、担当部署が政策や事業の計画を策定する際には、必要に応じて市民へのアンケート調査や住民ワークショップなどを実施し、市政に対する市民や団体などの意見及び情報を把握する機会を設けております。
このように直接市民と顔を合わせて市政運営を行っており、今後も市民や地域の皆様のご理解ご協力を得ながら着実にまちづくりを進めてまいります。

(質問)
先ほど市民参画を推進してきた事例として、市民参加型事業評価や市政懇談会、市長と語る会、若者と市長が語る会などを挙げていただきました。
これらに参加しているのは本当にごく一部の市民に限られています。
例えば相模原市では、子育て中の方向けの市長懇談会がありまして、当事者の方が多く参加したと聞いております。

市政懇談会や市長と語る会は、町内会自治会の方が中心で子育て世代の市民の方はほとんど参加していないように思いまして、一部の市民とだけ対話しているように感じているのですが、いかがでしょうか。
また市民ワークショップの事例をいくつか教えてください。
(回答)
市ではこれまでも町内会自治会の方のみならず、子育て世代の方や市の事業を共同して行っている事業者の方などとの市長と語る会を実施しております。
また、子育て世代の方をはじめ、多世代の方が参加されたワークショップとしましては、2023年度に実施しました町田市子どもにやさしいまち条例制定イベントの市民参加型グループワーク「考えてみよう子どもの権利を守る大人の責務」、また2024年度に実施しました町田第三小学校跡地活用ワークショップなどがございます。

(質問)
野津田公園に関する質問に移ります。
第2次基本計画の策定にあたっては懇談会を設置し、幅広く市民の意見を伺ったとのご答弁でしたが、懇談会の市民は公募による2名と町内会の代表2名の計4名だけです。
希望する市民がもっと参加できる形態で実施すべきだったと考えますが、いかがでしょうか。
(回答)
懇談会につきましては、委員7名のうち、学識経験者の方を公園緑地分野と交通計画分野、それとスポーツと街づくり分野の専門家3名としまして、市民の方を、町内会自治会の代表の方2名と、市民公募にあたってスポーツをテーマにした論文と自然をテーマにした論文の提出を求めまして、それぞれ1名ずつ選考した計4名で構成し、学識経験者と市民の方の両方からバランスよく意見をいただけるよう配慮しており、委員構成の内訳は適切であったと考えております。

また、懇談会だけでなく、利用団体からのヒアリング及び市民意見募集を実施するなど、幅広く市民の皆様の意見を伺い参考にしております。

(質問)

懇談会では、計画への反対意見や自然を残してほしいという意見もあったのですが、特にそのことについては議論をされなかったと聞いております。
そもそも何のための懇談会だったのでしょうか。
(回答)
懇談会は多くの市民が渇望している都市規模にふさわしいスポーツ施設を中心とした総合公園とすることを基本方針として掲げました。
当初の野津田公園基本計画から約30年が経過して、公園利用の多様化や健康意識の高まりとともに、するスポーツと観るスポーツをさらに充実させるなど多世代が魅力を感じる公園施設が求められている背景をもとに、新たに策定することとした第2次基本計画に資することを目的にこの懇談会は設置したものです。したがいまして、第2次基本計画そのものに対する反対意見は、懇談会で検討する事項ではございません。

(質問)
懇談会は計画について協議するような場ではないということでした。
先ほど市民意見募集も行ったということですが、一般的にもパブリックコメントの段階で何か計画内容が変わったというのはあまり聞いたことがありません。
結局のところ2014年の計画策定時には、市民の意見は聞いてはくださったのですが、本当にただ聞いただけということがわかります。
壇上で申し上げましたまちだ未来づくりビジョン2040に掲げている共創と相反するのではないでしょうか。
(回答)
第2次基本計画の策定手続きは幅広く市民の皆様の意見を伺っており、まちだ未来づくりビジョンの共創に合致していると考えております。


(質問)
共創というのは、アンケートみたいに一方通行に意見を聞くだけのものではなく、双方向に対話をしながら新しい価値を生み出すような考え方だと私は思います。共創に合致しているというふうにご答弁いただいたのですごく理解に苦しんでいるのですが、そもそも懇談会というのは話し合いの場ではないのでしょうか。
(回答)
町田市付属機関等ガイドラインでは、懇談会とは学識経験者、市民などの意見を求め、これを市が行う事務事業の実施等に反映させることを目的とした委員会等の機関です。

懇談会は、市が事業を進めるために必要な専門知識、市民意見などの情報を取得するための手段の一つであり、市が意思決定に資するためのものと定義されております。

(質問)
先ほどその政策経営部のご答弁では市民参画の事例として、日頃から市政懇談会とかで関係を築いているよ、それから市民ワークショップなどを実施しています、という風に挙げていただいたのですが、第2次野津田公園整備基本計画では市民が参画できるワークショップは行ったのでしょうか。
(回答)
ワークショップは行っておりません。


(質問)
反対意見が多い野津田公園整備事業については、共創の観点から今からでも市民ワークショップをやるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(回答)
改めてワークショップを行うことは考えておりません。

(質問)
2月13日の説明会でとても印象に残った質問がありました。
広場のすぐ近くに住んでいる女性の方からの質問ですけれども、上野原広場の景色が気に入って引っ越してきました。突然整備工事予定の2ヶ月前に初めて公の説明会が行われました。
これは民主的なプロセスなのでしょうかといった内容の質問をされた方がいました。

自然豊かな広場が突然コンクリートで埋められてしまうというのは、近隣住民の方にとっても住環境が大きく変化する切実な問題です。
近隣住民の方にはいつ伝えたのでしょうか。
その周知方法は近隣の方が十分理解できるものであったのかどうか確認をさせてください。
(回答)
第2次基本計画につきましては、基本計画全文を2014年6月2日からホームページへ掲載し、2014年6月21日号の広報に計画策定について掲載しております。
また、報道機関を対象として記者発表を行うとともに、議会に対しても行政報告を行うなど、全市民に向けて広く周知を行ってきたと認識しております。

(質問)
約10年前に広報まちだとかホームページに掲載いただいたということでした。
資料の2ページ目をご覧ください。
広報まちだ2014年6月21日号の該当箇所ですが、こちらからは上野原広場が転回広場に変わるということは全く読み取れません。

続きまして資料の2~4ページ目をご覧ください。市のホームページの原稿版なので当時とは少し異なると思うのですが、計画のPDFが添付されているのですけれども、ここから上野原広場のことを探すのは至難の業となります。

PDFを開くと、途中のページにゾーニング図がありまして、上野原広場は人と緑の触れ合いゾーンと書かれており、ここからは上野原広場が転回広場に変わることは全く読み取れません。 

次に、人と緑のふれあいゾーンの内容が一覧になっているのですが、上野原原っぱという記述もありますので、上野原広場がそのまま残るような誤解が生じる記述になっております。

最後に、全体の基本計画図があり、ここで初めて上野原広場の一部が転回広場になることがその図からわかるんですけれども、非常に小さな全体の図ですので、虫眼鏡とかで大きく拡大しないと分からないと思います。

いずれにしても、計画を見慣れている人や非常に関心の高い人しか気づかないような仕組みになっておりましてとても不親切だと思います。
第2次基本計画の策定時は、公園の近隣にお住まいの方や上野原広場を利用されている団体に具体的な説明を行ったのでしょうか。
(回答)
懇談会では、町内会、自治会を通じて近くにお住まいの方には周知を行っております。
なお、公園の隣接にお住まいの方や保育園等の周辺施設に直接市から説明は行っておりません。


(質問)
2014年の計画策定時に懇談会やパブリックコメントで市民の意見を聞いたものの、共創や市民参画という観点からはほど遠いものです。
そして策定時も具体的に説明を行っていないということが分かりました。

2014年から11年後の2025年2月13日、整備工事予定の2ヶ月前に初めて説明会が行われるんですけれども、まちだ未来づくりビジョン2040には次のように書かれています。
基本方針1「共創で、新たに価値を創造する多様な主体と連携を推進することにより、地域の活性化やまちづくりを効果的に推進します。また、情報の発信と共有を積極的に行うとともに、市民ニーズを的確に把握し、市民の声を政策へ反映します。市民の理解と共感を得ながらともにまちづくりに挑戦する共創のまちづくりを進めます」と書かれております。

今のお話では、全く真逆のことが起きているというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
2013年11月に補正予算で南口転回広場測量の予算が承認されています。
第2次基本計画策定から10年以上経過しているため、2月13日ではなくて、少なくとも測量業務を始める前に改めて説明会をすることができたはずなんじゃないかと思うんですけれどもいかがでしょうか。
(回答)
説明会の時期につきましては、具体的な計画をお示しできる基本計画案ができたタイミングで地域の皆様にご説明するのが適切であると考えております。

(質問)
基本計画が出来上がっていれば具体的な面積の数値とかは入れられるんですけれども、その基本計画が終わってなくても概要は説明できると思います。
逆に、そのタイミングで説明すると何か不具合があるのでしょうか。
(回答)
具体的な計画を示してきる基本計画案ができたタイミングで地域の皆様にご説明するのが適切であると考えております。

(質問)
2014年の計画策定時も市民参画のプロセスがほとんどなかった、そして近隣への具体的な説明もなかった。
そして10年後整備工事予定の2ヶ月前の2月13日に初めて公の説明会が開かれるというのは、物事の進め方のプロセスとしていかがなものかと思います。
一度立ち止まって、改めてもっと広い範囲を対象に対話の場を設けて意見を聞くべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(回答)
南口転回広場につきましては、引き続き随時ご意見を伺ってまいります。
なお、工事着手の前には、工事に伴い直接影響を受ける近隣住民の方を対象とした工事説明会を開催する予定でございます。


(質問)
今、全国的に資材高騰や人手不足で入札不調が起きています。
その前提条件に住民の反対運動が加わったらいかがでしょうか。
この場所は2012年に突然臨時駐車場を作ることになって住民の反対があって駐車場工事が中止になったという経緯があります。
2月13日の説明会でも、反対が多く、入札不調のリスクも高くなると考えます。
もっと市民に寄り添った上で進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか
(回答)
入札不調リスクが高くなるというところですが、入札につきましては、社会情勢などを基にした事業者それぞれの意向に基づくものであり、市はお答えできる立場にはございません。


(質問)
それではちょっと違う観点から質問いたします。
町田市住みよい街づくり条例というものがありますが、そちらには、その事業者は開発の構想について関係住民に対し早期に周知すると記述されております。
事業者に求めることを市がやらないというのはおかしいと考えるのですが、いかがでしょうか。

(回答)
南口転回広場は2014年に策定しました第2次基本計画に基づき整備を行うものでございます。
この基本計画策定について記者発表を行うとともに、町田市のホームページや広報まちだに掲載して全市民に対する周知を図り、現在もその策定経緯を含めてホームページで公表しております。
また、南口転回広場説明会の約1ヶ月前に近隣の方々を直接訪問し、個別に対面して設計内容を説明しております。これらは、開発等の構想について関係住民等に対し早期に周知するという早期周知のまちづくりの考え方にも合致するものであると考えております。

(質問)
住みよい街づくり条例の第16条を読み上げます。
「関係住民等は、構想の実現について必要な意見があるときは、事業者に対し、規則で定めるところにより協議を申し出ることができる。
事業者は前項の規定による申し出があったときは、当該申し出をした関係住民等に協議しなければならない」と記述があります。
事業者に求めるのであれば市も協議を実施するべきではないでしょうか。
(回答)
町田市住みよい街づくり条例では、市が行う事業を条例第13条第2項で対象外としております。
その理由は、市の事業計画において市民に対して適切な周知が行われており、別途条例の手続きを行う必要がないとされているためでございます。


(質問)
何をもって適切というのか、多分基準が違うんだと思うんですけれども、広報まちだやホームページに載せておきましたよ、という周知方法が適切だと私は思いません。
相手に伝わっていなければ周知したとは言えないのではないでしょうか。
やはり野津田公園の整備を進めるのではあれば一度立ち止まって市政懇談会や市民ワークショップのような意見反映できる場を設けるなど、共創のプロセスとしてやり直すべきではないでしょうか。

(回答)
これまで答弁しました通り、第2次基本計画の策定に当たっては幅広く市民の皆様のご意見を伺ってまいりました。よって、やり直すことは考えておりません。

(質問)
野津田公園南口転回広場の事例を踏まえて、個別の事案に対してうまくいっていないということは他の事案も同様に生じる可能性もあると考えております。
地域住民と分断を生まないようにするためにはどうすればよいのか、市の考え方を伺います。
(回答)
事業を始める際には、事業説明会とか、検討会などに担当する職員が赴き地域や関係する方々に丁寧に説明する、あるいは対話の機会を設けております。
こうした機会を通じまして、今後も市民や地域の皆様のご理解、ご協力を得ながら着実にまちづくりを進めてまいります。

(質問)
野津田公園南口転回広場の進め方がとても不誠実だと思いますし、共創とはかけ離れていると私は思っているんですけれども、部長の答弁では適切だったということでした。
また、別の事業においても同じことが起こるような気がしているんですけれども、事業の進め方について振り返って次へと生かす仕組みはあるのでしょうか。
(回答)
事業の進め方につきましては、担当部署が事業の進捗を振り返り業務改善を図っているところでございます。

(意見)
その判断基準などが担当職員に委ねられているっていうところで、本日のやりとりも含めてうまくいっていない事業についても教訓にもならないんじゃないか、というふうに感じているところです。
今回の質問のタイトルを、市民と行政が顔の見える関係を築き、対話を大切にした共創の街づくりを実現するためにとしました。
これを必ず実現したいという願いを込めて、こういうタイトルにしたんですけれども、これから少子高齢化でたくさんの難しい課題に直面します。

その時に行政や政治に対してどれだけ信頼があるか、その信頼関係が難しい課題を乗り越えるための大きな力になると思いますので、今後も諦めずにチャレンジしていきます。