子どもが自死しない世の中に変えるために

2020年11月、市内の小学生のお子さんが自ら命を絶つというとても悲しい出来事がありました。
3年4ヶ月後の昨年2月21日に町田市いじめ問題調査委員会が報告書を出しました。
調査委員会は町田市及び市教育委員会が取るべき再発防止策を提言しています。
子どもが自死しない世の中に変えていくためには、少なくとも調査委員会の提言を市教育委員会が実施することは必要なことだと考えます。

1)町田市いじめ問題調査委員会の提言を受け、改善に向けてどのような取り組みを進めているのか。
(回答)
提言では一つ一つのいじめが自死の原因となったのではなく、また重大事態の原因は複合的なものであり、学校要因も一因ではあるが、これのみが自死の原因とは特定できないとしております。
併せて、町田市教育委員会及び学校として何をすべきであったかの観点で提言もなされております。
この提言を受け、教育委員会ではいじめの早期発見及び未然防止につきまして改めて確認と改善を進めております。
各学校におきまして、いじめはどの学校でもどの子どもにも起こり得るとの認識の下、学校いじめ対応チームを中心に組織的に対応しております。
学校いじめ対応チームでは心のアンケート実施後の情報共有やいじめ事案の確認、対応方針の検討、経過報告などについて組織的に対応することで、いじめの未然防止や、いじめが起きにくい、いじめを許さない環境づくりに努めております。


(質問)
昨日行われました10番議員の質問にも関連しまして、報告書の提言にもある重大事態への対応、調査主体の公平性の確保について伺います。

町田市いじめ問題対策委員会、いわゆる第三者委員会は、常設の委員会となっております。

対策委員会は、学識経験を有する者、法律、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等のうちから教育委員会が委嘱する委員5人以内で組織すると条例に書かれております。

この委員の中にもし第三者ではない利害関係者が含まれていた場合は調査から外れるというふうに過去の質問の中でご答弁をいただいております。

本来5名で調査する予定だったのに委員の中に利害関係者が含まれていた場合、今の町田市では欠員のままで調査をすることになります。4つの専門性のうち1つの専門性が欠如した状態で調査するというのはいかがなものなのかなと思います。

例えば法律の専門家が外れた場合、居るか居ないかでは調査結果も変わってきてしまうと思うのですがそのあたりはいかがでしょうか。
(回答)
いじめ問題対策委員会委員の中に対象児童、生徒及び保護者、また関係児童、生徒及び保護者などと関わりがある者がいることが判明した場合、当該事案の調査から外れていただくのであり、委員の職を欠くことにはなりませんので、新たな補欠の委員を委嘱することはございません。


(質問)
対象児童生徒、保護者と信頼関係を築いていかなければ調査はできないというのは皆さんもよくわかっていると思うのですが、欠員の状態で調査をすることで、溝が生まれてしまう大きな要因になると思うのですが、いかがでしょうか、
(回答)
第三者性を担保した上で調査の方は適切に進めてまいりたいと考えております。

(質問)
伺いたかったのは溝が生まれてしまう要因になるのではということです。
(回答)第三者性についてですね、適切に説明をして対応してまいりたいというふうに考えております。


(質問)
条例の中には委員の中に第三者ではない人物が含まれた場合どうするかということは特に記述はありません。
外して欠員で調査するというのは、条例で定められているものではなく、独自に対応しているものだと思うのですが、欠員とせずに職能団体に新たな人物を推薦してもらって任命することも条例の範囲内だと考えますが、いかがでしょうか
(回答)
今議員おっしゃられた事案は、欠員ではないというふうに判断しております。

(質問)
もう一度その欠員ではないということのご説明を再度お願いできればと思います
(回答)
当該事案の調査から外れていただくだけなので、新たな補欠の委員を委嘱することはないというふうに考えております。

(質問)
理解できました。
常設の5名のメンバーが欠員になるというわけではなく、その事案の調査について外れるという意味というふうに理解いたしました。
私が求めているのはその事案の調査に対する人が一人少なくなることで様々な不具合が生じるというふうに感じているのですが、そのあたりはいかがでしょうか、
(回答)
当該事案の調査から外れていただくことにはなりますけれども、4名であれば4名の中で適切に調査をしていただける、というふうに考えております。


(質問)
多分これ以上質疑しても同じ答弁が返ってくると思うので、次の質問に移ります。
昨日の質問の中で、東京都で長く教員をしていた人物が委員をする場合についてのやりとりがありました。
職能団体が推薦した人物であっても、対象児童、生徒、保護者からすれば教育委員会寄りの人物だと考えるのは当然のことです。それは誰しもがそのように感じると思います。

そこから信頼関係が損なわれて調査がうまく進まないということは容易に想像できることであって、対象児童、生徒、保護者の心情を配慮しても、東京都で長く教員をしていた人物は任用しない方がふさわしいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
(回答)
直接の人間関係または特別の利害関係がなければ第三者性は確保されているというふうに捉えておりますので、支障はないと考えております。

(質問)
常設の委員ですけれども、2021年委嘱の時には福祉の専門家は市内の民生児童委員1名でしたが、2023年委嘱の際は福祉の専門家2名に増えておりまして、市内の民生児童委員ともう1名、東京社会福祉会から推薦の人物となっています。
福祉の専門家が2名になったのは何か理由があるのでしょうか、
(回答)
特に理由はないと考えております。

(質問)
社会福祉士の方であれば、民生委員の専門性も内包しますので、社会福祉士のみで良いと思うんですけれども、いかがでしょうか。
(回答)
委員の委嘱につきましては事務局の方で検討して委嘱をしております。

質問)
福祉の専門家として入っている民生児童委員の方は2021年委嘱の方も、2023年委嘱の方も私は知っている方です。
町田市民が委員に入っているというのは第三者ではない可能性が高くなるため、少なくとも市外の方にするべきだと考えますが、いかがでしょうか
(回答)
団体に委嘱の推薦の依頼をしておりますので、第三者は確保されておると思います。直接関係のある方であればその調査からは外れていただくというふうに考えております。

(質問)
2024年2月21日の朝日新聞の記事に、次の内容が記載されております。
認定した一つ一つのいじめが自死の原因となったのではなく、安心安全な学級が形成されず、長期間人間関係のストレスにさらされたことが心を弱らせる一因となったと指摘され、学校及び家庭の適切かつ十分な対応によって自死を防げた可能性は否めないとの見解を示したとのことでした。
報告書のいじめ防止のための提言には、誰もが安心して通える学級学校づくりという項目があります。
安心安全な学級形成のため。現在ハイパーQUを小学5年生と中学2年生で実施しておりますがハイパーQUの有用性についてまず確認させてください。
(回答)
ハイパーQUを実施することによって、クラスの状況と児童生徒一人一人の状況を把握することができます。

そのクラスの状況からはどのような手立てを講じるべきかを担任や学年の教員で共有することで、学級満足度の向上につなげることができます。また、児童生徒一人一人の状況に関しましては、見た目では判断しづらい悩みを持っている児童生徒を把握することができるため、対象の児童生徒に対して丁寧な声かけを行ったり、個別に面談を実施することにつながっております。

(質問)
ハイパーQUは定量的な調査ですが、大切な取り組みだと思います。市内の小学校ではハイパーQUを全学年で行っているところもあります。
いじめは全ての学年で起きているので、小学5年生と中学2年生だけというのは不十分だと考えます。全学年に拡充してはいかがでしょうか。
(回答)
児童生徒の発達段階を考えますと、小学校第5学年、中学校第2学年は心身の発達が著しく、また精神的に不安定になり人間関係が複雑になりやすい時期であること、また教員が最高学年になる前に児童生徒の状況を把握していくことが重要であることから、ハイパーQUにつきましては来年度も小学校5年生、中学校2年生で実施する予定です。

(質問)
もちろんハイパーQUですべてを把握できるわけではなくて、教員がきめ細やかに把握、対応すべきこともあります。
現状として教員の業務は逼迫しており1年生のみですが、エデュケーションアシスタントを配置し、授業中の補助や登下校の見守りなど、児童へのきめ細やかな対応や教員の負担軽減に大きく貢献しております。
学級担任が希望する場合、他の学年にも配置できるように人的支援に関する予算措置が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか
(回答)
エデュケーションアシスタントの他学年への配置につきましては、教育全体でのバランスを図りながら、これに伴う予算を考慮してまいります。
現在学校において担任一人では学級の対応が難しい場合、様々な人材を活用して対応しております。
一例といたしましては、授業が空いている教員、また学校支援ボランティア等が、担任の補助に入ったり、副担任を含めた学年の教員で子どもたちを見守ったりするなど、学校全体で情報を共有し、組織的な対応を行っております。
また、学校支援ボランティア以外にも、大学生のインターンシップの活用や地域の協力者を募るなど、他学年に活用できる人材の確保に努めております。


(質問)
報告書のいじめ防止のための提言には、いじめの透明化、潜在化への注意と対応という項目があります。
現在子どもたちのSOSを把握するために、心のアンケートや相談窓口の周知等様々に行っていただいておりますが、心のアンケートに記述があった場合、初期対応、初動は学級担任となっております。
記述された言葉は直接的に書かれているとは限らず、子どもが発する言葉の裏側にある願いを読み取る必要がある場合が多くあります。臨床心理に関する高度な専門知識に基づいた対応が必要になることも多く、学級担任の最初の対応や言葉の掛け方で心を閉ざしてしまう可能性もないとは限りません。
心のアンケートの対応の初期対応はスクールカウンセラーで対応した方が良いと考えるのですがいかがでしょうか。
(回答)
心のアンケート実施後は担任だけではなく2人以上の教員で確認し、いじめやいじめの疑いがある事例及びいじめに発展する可能性がある事例等について、必ずいじめ対応チームで確認して学校内で組織的に対応できるよう情報共有を図っております。
また、いじめ対応チームにはスクールカウンセラーも入っております。
まずは児童生徒との関係がある担任や学年の教員が寄り添いながら状況の把握についての確認などをすることが大切であると考えますが、アンケートの内容によっては事前にスクールカウンセラーが入り、児童生徒に聞き取りをすることもございます。


(質問)
報告書のいじめ防止のための提言には、保護者との連携という項目があります。
現在、教員の残業を減らすために電話が通じるのが午後4時45分頃までとしている学校が多いのですが、教員の働き方改革という観点では必要なことですが、共働きの保護者の方からは電話する機会がないという声が多く寄せられます。
何時に電話すればよいのかわからないとか、そういった声が多いのですが、やっぱり家庭での些細な気づきを伝えることが早期解決につながると思います。
例えば、早期発見という観点からは、一つでも情報が多いと良いと思いますので、保護者からテトルで伝えて、教員が都合が良いタイミングで電話連絡するということも可能だと思うんですけれど、いかがでしょうか
(回答)
テトルは教員の学校業務削減と保護者の学校理解促進を同時に実現し、教員と保護者が子どもたちの成長を見守る時間と機会の増大のための保護者連絡ツールになっております。そのため、スマートフォンアプリやメールで学校からの連絡を受けたり、素早く欠席連絡を学校に届けたりするために利用できます。しかし、いじめやいじめの疑いがある事例及びいじめに発展する可能性がある事例等を教員に連絡するために利用することはできません。

保護者からのいじめやいじめの疑いがある事例及びいじめに発展する可能性がある事例等の相談につきましては、電話や面談、また連絡帳など様々な方法で学校に相談していただくよう学校だよりや保護者会等で各家庭に周知をしております。

(質問)
報告書のいじめ防止のための提言には、いじめへの対応のための教員の増員及び専門部の設置という項目がありますが、これまでどのような取り組みを行ったのか確認させてください。
(回答)
まず教員の増員については、各学校の教員数につきましては、東京都教育委員会が定める教員定数配当方針に基づき各学校へ配当されます。
そのため、いじめへの対応のために教員を増員するということはできません。

次に、専門部の設置については、学校内で専門部を設置することは難しいと考えております。
そのため、いじめへの対応につきましては、学校いじめ対応チームを中心に組織的に対応してまいります。


(質問)
教員の増員というのは必ずしも教員免許を持っている教員でなくても良いわけです。
いじめの対応をするための人員というふうに私は捉えているのですけれども、そういった教員以外の人員を確保するというのも難しいんでしょうか。
(回答)
教員以外の人員ということにつきましては、先ほど一例としてお話しいたしましたけれども、学校支援ボランティアであったり、大学生のインターンシップの活用、また地域の協力者などを活用しまして、人員の活用に努めているところです。

(意見)
今学校支援ボランティアなどというふうに例を出していただいたのですが、いじめはかなりの高い個人情報になりまして。
できればそういったボランティアではなくて必要な人員を配置いただければと思います。


(質問)
令和6年第2回定例会の10番議員の一般質問で、昨年の総務常任委員会で視察した大阪府八尾市を念頭に置かれて質問されたと思うのですが、以下のように質問がありました。
市長部局がいじめ問題に取り組んでいくことについては市長部局側から見てどのようなメリットがあるとお考えでしょうかという質問に対して、
政策経営部長の答弁は、「教育委員会と市長部局がともに、いじめ問題に対応することのメリットといたしましては、まず、教育委員会や学校に相談することに抵抗のある子どもや保護者にとりまして、相談先が広がることが挙げられると思っております。また、学校以外の子どもの居場所を担当する関連部署が連携することで、それぞれの居場所において子どもの異変に気づき、その情報を共有することで、いじめを早期に発見し、横断的に連携した早期の対応につながることが期待できるというふうに考えております」とのことでした。

また、指導室長からも、教育委員会としても同様に考えておりますと答弁がありました。
報告書のいじめ防止のための提言の、学校以外の地域での居場所の提供と地域でのネットワーク、そして専門機関との連携という項目に該当すると考えますがこのやりとりの後、どのような検討をされたのでしょうか。
(回答)
学校以外の地域での居場所の提供と地域でのネットワーク、専門機関との連携という項目につきまして、市町部局と教育委員会の関連部署が一体となって取り組みを検討いたしました。

具体的には、各部署が所管する学校や、学校以外の子どもの居場所における子どもの情報を専門機関と共有するということです。

今後は、このような取り組みを実施し、いじめの早期発見、早期対応につなげていきたいと考えております。


(意見)

ありがとうございます。ぜひ、今後も連携して教育委員会だけではなくて市全体で取り組んでいただければと思います。

様々取り組んでいただいているということは分かったのですが、二度と同じことが起きてはならないというもっと強いメッセージが必要だと思います。

子どもたちのSOSを見逃さない仕組み、そしていじめを発見したときには、何が何でも子どもたちを守っていくという強い気持ちを持って今後も対応していただきたいと思います。