市では市民参加として計画策定時にパブリックコメントによる参加や、地区別懇談会で意見を述べたりする機会はあるものの、参加者が少なく、多様な意見やアイデアが充分に取り入れられているとは言い難いと考えています。
町田市において、経営基本方針の基本方針1「共創で新たな価値を創造する」の「めざす姿の実現に向けた改革項目」「①情報の双方向性を高める」では、情報発信と共に「市民、地域団体、事業者などの意見を施策や事業の推進に活用します。」とあります。
より多くの意見を集めて取り入れるには、デジタル化が必須だと考えています。
ところが、昨年2021年9月に策定されました「町田市デジタル化総合戦略2021」では、デジタル技術を活用した市民参加に関する記述がありません。
2021年度町田市市民意識調査報告書に「市役所の取り組みに関心があるか」という質問があります。その結果を見ると「関心がある」と「やや関心がある」と回答した割合は2017年度から2021年度まで、約40%と横ばいであることから市政に関心を持っている方は増えていません。「関心がない」と「あまり関心がない」と回答した割合は約25%とこちらも横ばいです。また、市民活動に参加している市民は2020年度は8.2%、2021年度は7.7%と、年々わずかに減ってきています。今と同じことをやっていては、市役所の取り組みに関心を持つ割合は増えていかないと考えています。そのため、他の自治体が行っているようなデジタル技術を活用することで、市民がアイデアや意見を出しやすくなるのではないかと考えています。

質問
市民から多様な、より多くの意見を集めるために、DX時代における新たな形態としてデジタル技術を活用してはどうでしょうか。

回答
ー今後の取組みについての回答ー
〇デジタル技術を活用する主なメリットは、自宅にいながらでも意見が出せるという手軽さにより、これまで以上に多くの方からのご意見をいただけること、そして、データの即時集計と分析が可能となり、事業企画等への迅速な反映ができることなどが挙げられる。
〇今後もデジタル技術を活用して、より多くの市民の皆様から多様なご意見やアイデアをいただけるよう、他市の事例も参考に研究していく。

ー町田市の現状説明ー
①市民の皆様の声を市政運営に関する企画立案や事業の改善等に生かしていくため「市長への手紙」を受け付けている。
「市長への手紙」の提出方法は専用はがきやファックスでの提出に加えて2010年10月からはメールでの送信が可能となっている。2021年度のメールでの受付は、総件数の63.9%を占めている。
②市の計画や条例等を作る過程で市民の皆様からご意見をいただく「パブリックコメント」においても文書やファックスのほか、メールでも受け付けている。
③2019年度に実施した「市民参加型事業評価」において、会場の様子をライブ配信するとともに、インターネット投票を通じて、事業の評価に参加できる機会を設けた。ライブ配信のアクセス回数は延べ542回で、インターネット投票では、10代から70代以上まで幅広い年齢層の延べ404人に参加いただいた。
④2021年度には防災情報や子ども子育て情報といった市政情報をメールやLINEで配信する「町田市メール配信サービス」に市民の皆様の声を聞く仕組みを新たに設けた。
・具体的には新型コロナワクチン接種を実施するになたり、市民の接種ニーズを把握するため、接種希望や時期、会場等について意向を確認するWEBアンケートを行った。
・2021年6月から12月にかけて計4回行った調査ではいずれも調査機関が3日間と非常に短い期間であったにも関わらず、各回平均5,800人、延べ2万3,242人の方からご回答をいただいた。
・この回答をもとに接種希望に応じた予約枠数を確保することで、市民の皆様が安心して接種できる体制を整えることができた。
⑤2022年4月からは、このWEBアンケート調査を制度化し「町田ちょこっとアンケート」として本格的な運用を開始した。

私の提案
様々な分野で取り組んでこられたこと、特にWEBアンケートについては多くの市民の声が活かされていることを理解しました。
更に多角的な分析手法を用いて、単体ではなくどのような効果が得られたか積み重ねていただければと思います。
ただし、町田市の取組みは一方通行な意見集約や参加が多いように思います。一方向ではない、双方向のやりとりのうえで生まれる答えがあります。
町田市の経営基本方針の基本方針1は「共創で新たな価値を創造する」です。「市民の理解と共感を得ながら、共にまちづくりに挑戦する 「共創のまちづくり」を進めます。」と記述されておりますが、文脈から、市が内容を示して、市民にご理解をいただく。そんな印象を受けます。
先の読めない、答えがひとつではない世の中です。対話のうえで市民と行政が一体感を感じられる透明性を持った双方向の意思決定のプロセスを持つことが基本方針1の「共創で新たな価値を創造する」につながっていくと考えます。

デジタル技術は日々発展しており、どのタイミングで導入するか判断が難しいところです。予測困難な時代であるからこそ、ひとつの正解を求めすぎないことが大切で、小さな挑戦を繰り返すことで経験値を積み重ねていくことが重要です。従来のやり方をそのまま踏襲する先には新しい景色は見えず、どれだけ勇気を出したか、どれだけ挑戦したかによって訪れる未来は変わります。今回人事でメタバースを取り入れたように、他市の事例も参考にしながら、今後も新たな挑戦を続けていただきたく要望といたします。

(他自治体の先進的な事例)
加古川市ではデシディムというしくみを使っています。
アイデアボックスというツールは、多数の自治体で活用されています。今月から横浜市でもアイデアボックスを使った実証実験が始まります。
D-AgreeというツールはAIがファシリテーションしてくれて、意見募集だけでなく合意形成まで進めるということが可能な最先端の仕組みです。もしネガティブな投稿があってもAIが投稿から本質を導きだし、ポジティブな議論へ転換することも可能で、マンパワーではとてもできない規模の議論を集約することが可能です。