いじめ早期発見のための学校と家庭の連携

いじめの重大事態について全国で後を絶ちません。町田市では2022年4月町田市いじめ防止基本方針を改定し、組織的な対応をしっかりと位置づけ、未然防止、早期発見、早期対応の観点から、子どもたちを守っていくためにあらゆる手を打っていることに感謝しています。
町田市いじめ防止基本方針の冒頭には、教育長からのメッセージとして、「これまで以上に学校、教育委員会、さらには家庭や地域も含めた社会全体が一丸となっていじめ問題への取り組みを推進してまいります」と記述がありますが、学校と家庭がどのように連携をとるのかがわかりにくいところです。
そこで、町田市の現状、そしていじめ早期発見のための学校と家庭との連携について、どのように推進していくのか伺います。

質問
1)いじめ認知の基準、および町田市における、いじめ認知件数の動向は。
2)2022年4月に改定された町田市いじめ防止基本方針の主な改定内容は。
3)いじめ早期発見のための学校と家庭との連携についてどのように推進していくのか。

回答
1)いじめ認知の基準、および町田市におけるいじめ認知件数の動向
○いじめ認知の基準については、いじめ防止対策推進法第2条において、「『いじめ』とは、『児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの』をいう。」と定義されています。
○町田市立小中学校では、法第22条に基づき設置された各学校の「学校いじめ対応チーム」において、「いじめの定義」に基づき、認知をしています。
○いじめ認知件数の動向については、文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の数値であるため、統計法の規定に基づき、公表することができません。
○件数は、2020年度は2019年度より減少しています。4月・5月が臨時休校で登校日数が少なかったこと、新型コロナウイルス感染症の影響で活動が制限されたこと等から減少したととらえています。
○件数は、2021年度は、2020年度より増加しています。各学校において、「いじめはいつでも、どの学校にも起こりうる可能性がある」という認識で、一人一人の子どもの状況を細やかに確認し、学校いじめ対応チームで認知して、学校全体で組織的に早期発見・早期対応につなげることができていると考えています。

2)2022年4月に改定された町田市いじめ防止基本方針の主な改定内容は
○2町田市いじめ基本方針の主な改定内容については、次の4点です。
第1は、「いじめ発生時における組織的な対応の視覚化」です。いじめの早期発見や早期対応の流れ、いじめの重大事態発生時の対応の流れを視覚的にフロー図で示し、また、学校の組織的な対応力の向上を図るために、学校いじめ対応チーム定例会を月1回開催し情報共有の体制をつくり、実効性の高い取組にすることなどを示しました。
第2は、「学校評価結果を踏まえた取組の明確化」です。学校のいじめ防止基本方針をより実効性のあるものにするために、取組状況等を学校評価の項目に位置付け、定期的に点検・評価を行い、必要に応じて改善を図ることを示しました。
第3は、「インターネットいじめに対する対応の強化」です。情報モラル教育の充実を推進するとともに、児童・生徒に貸与しているタブレット端末については、SNS等の学習に関係のないウェブサイトへのアクセス制限やログの管理などの技術的対策を行うことを示しました。
第4は、「町田市独自の取組の明確化」です。町田市の独自の取組として、「スクールロイヤー」、「町田市スクールカウンセラー」の活用、いじめ匿名連絡サイト「スクールサイン」、学級満足度尺度、学校生活意欲尺度、ソーシャルスキル尺度を把握する心理検査「hyper-QU」の活用など、教職員のいじめ対応力の向上や未然防止に積極的に取り組むことを示しました。
 
3)いじめ早期発見のための学校と家庭との連携について、どのように推進していくのか。
○町田市いじめ防止基本方針を基に、校長会及び副校長会において、いじめを「防ぐ」、いじめに「気付く」、いじめから「守る」取組について、学校運営協議会をはじめ、PTA等保護者との組織、地域の関係団体、関係機関と共通理解を図り、連携し協働して取り組むよう伝えています。
○教育委員会で作成した、教職員と保護者、それぞれに対して「いじめ」の未然防止、早期発見、早期対応、学校への相談などについて具体的な方策を示したリーフレットを、2022年4月に学校へ送付し、保護者会等で学校いじめ防止基本方針と併せて説明するとともに、学校ホームページへ掲載したり学校だより等で周知したりすることで、学校と家庭との連携を進めます。
○教育委員会が実施している若手教員育成研修、中堅教諭等資質向上研修や、生活指導主任会などにおいて、いじめに関する研修を実施し、いじめを発見した際の学校の対応や家庭と連携した対応についてなど、学校と家庭との連携の重要性について触れ、教職員の意識の啓発を図ります。
○各学校では、日頃から、保護者が様々な悩みや心配なことを相談しやすい環境を整えていることについて、4月の学校だより等で各家庭に周知していますが、今後も機会を捉えて発信するよう、全校に伝えてまいります。

再質問
いじめの早期発見のために、保護者が気になることを学校に伝えるための専用のシートを用意して、保護者からの情報提供を積極的に呼びかけている学校があると聞いています。こういった優れた取組を町田市全体に広げていくべきと考えますがいかがでしょうか。

回答
○各学校では、いじめの早期発見のために保護者との連携強化を図る様々な取組を行っております。議員ご紹介の、保護者が気になることがあった場合に学校に連絡する保護者専用シートは、「感情の起伏が激しくなった」や「わざとらしくはしゃいでいる」などの家庭での様子を学校に伝えるもので、こうしたシートを活用している学校もございます。
○この他にも、年度始めの保護者会において、子どもに見られる変化や心が不安定になった際の様子について、発達段階別に説明したり、保護者を対象にした、いじめや人権についての講演会や、いじめをテーマにした道徳授業地区公開講座を実施した際に、家庭との意見交換会を実施したりしている例などがございます。
○これらの保護者と連携した優れたいじめ対策に係る取組を、生活指導主任会等を通じて市内の学校に広げていきたいと考えております。

私の提案

先に行われた一般質問でも自殺対策として学校運営協議会が取り上げられ、そして今回も「学校運営協議会をはじめ」とのことで、地域で子どもたちを支える枠組みとして学校運営協議会が担う役割は非常に大きなものであると考えております。
学校運営協議会はまだ昨年始まったばかりで、取り組みは学校によってさまざまです。
市内のある中学校では学運協の取り組みとして、放課後学習教室を行っております。中学生の居場所づくりをしています。一方で、学校の示した方針や取り組みを評価をしているだけという学校運営協議会も多くあり、自殺対策やいじめ早期発見で重要な役割を担う組織として、形式的な組織ではなく、地域の大人で地域の子どもたちを守っていくよう取り組んでいただければと願います。

いじめに遭ったとき、子どもが自分から大人に相談できるとは限りません。たとえ親子関係が良好であっても親に心配をかけたくないと相談しないことも多くあります。我が子が通う小学校の心のアンケートでは「相談できる大人がいるか」という項目があり、校長先生によると毎回一定数の子どもたちが相談できる大人がいないと回答しています。SOSを出す授業を行っているとのことですが、子どもたちの笑顔を守っていくためには、子どもと大人、大人同士も相互認知する程度ではなく、助け合える関係性を日頃から醸成しておく必要があります。

先程のご答弁でも「保護者と連携した優れたいじめ対策に係る取組を、生活指導主任会等を通じて市内の学校に広げていきたいと考えております。」とのことでした。各校の学運協任せ、各学校任せとならないように、今後も各校の良い事例など共有して研究し、取り組んでいただきたいと思います。

 いじめの問題は子どもの生死にもかかわる問題です。悲しい思いをする子どもがうまれないように、なぜ周囲の大人が気付くことができなかったのだろうと後悔することのないように、情報共有だけの地域や家庭の連携にとどまらず、大人がどのように行動すべきか今後も考えを深めて参りたいと思います。